簡単な盆栽用土の作り方~基本用土とブレンド方法とは~

盆栽

盆栽用土の3条件

盆栽は盆栽鉢という限られた環境で育成されます。そのため、鉢の中の環境を植物の自生地に近づけ、出来るだけ快適に保ってあげる必要があります。

そこで大切になるポイントは3つあります。それは、

  • 保水性
  • 排水性
  • 通気性

です。

それぞれ解説します。

まず保水性ですが、これは土が水を保つ性質です。

水やりした後、できるだけ用土中に水が保たれていれば植物はじっくりと根から水分を吸収することができますので生命維持に最適です。なおかつ育成面からも水やりの手間も省くことができますので人間にとっても効率的です。

次に排水性です。これは前述した保水性と相反する性質のようですが大切な要素です。

水やりは毎回タップリとやるのが基本ですが、そのためには鉢底の用土までじっくりと湿らせる必要があります。植替えしたばかりの鉢なら余分な水分が鉢底の穴から抜けていきますが、時間が経ち根が回った鉢だと余った水がうまく抜けずに停滞しがちです。

そこで効果を発揮するのが排水性です。排水性の良い土は時間が経って根が回った鉢の中でも余剰の水分を排出できます。そのため長期にわたり根腐れを防ぎ盆栽を健康に保つことができます。

通気性は上記の排水性とリンクする部分がありますが、こちらは空気の通り道の話になります。

植物は根でも呼吸しています。盆栽のような鉢植えの植物は、水やりのタイミングが通期の機会となります。

通気性の良い土とは団粒構造の土です。団粒構造とは聞きなれない言葉ですが、土の粒が多孔質になっており、粒の中に細かい空間が存在する構造のことです。

以上の3点を満たした土が盆栽を育成する上で適した土となります。

基本は赤玉土

盆栽用土はこれが正解というものはありません。それは、盆栽家ごとに日当たりや風通しなど盆栽を育てる環境がそれぞれ異なるためです。そのため、用土の配合割合は盆栽家の数だけ存在するといっても過言ではありません。また、使用する土(砂)の種類もそれぞれ千差万別で、中には自ら山に入って採集してくるというこだわり派も存在します。

ただ近年では野山で土を採取するのは現実的に難しいです。そのため、現代では盆栽に適した土や砂を購入し、独自でブレンドして使用するのが一般的です。

ここではホームセンターや園芸店で手軽に入手出来て、その上使いやすい用土として知られる「(硬質」赤玉土」を中心に解説していきます。

オールマイティーに使える基本ブレンド

赤玉土単用でも使用可能ですが、2から3種類の土を混ぜて使うことでより育成に適した盆栽専用の土になります。

私が使っているブレンドの配合割合はこちらです。

・雑木(花もの、実もの、葉ものなど、松柏以外すべて)→赤玉土8:日向土2

・松柏→雑木用土(赤玉土8:日向土2)8:矢作砂2

※サイズはすべて「小粒」または「細粒」

日向土の代わりに桐生土、矢作砂の代わりに富士砂など、特徴が似ていて手に入りやすい素材を使用することも可能です。

必ず篩にかけて微塵を取り除く

という具合に、盆栽用土と一口に言っても「これが正解」というものは存在せず、盆栽棚のある環境と育てる植物によって異なるということが言えます。

ただ、共通して注意することがあり、「ミジンを取り除く」ということです。

盆栽は一度植え付けると1~2年にわたり土の手入れが出来ません。もしミジンが鉢中に堆積すると目詰まりを起こし、根腐れの原因になってしまいます。

それを防ぐためには、毎回使用前に土をフルイにかけましょう。このひと手間が、盆栽の健康維持に役立ちます。なおフルイのメッシュは1~2mm目ほどのもので十分です。

以上、盆栽用土についての解説でした。