盆栽と盆栽鉢のことABOUT BONSAI

(この文章はおよそ7分で読めます)

【盆栽を始めたきっかけ】

休みの日は学生時代から続けたサッカーに明け暮れ、オフの日は釣りやドライブに出かけ、家にじっとしてるのが苦手な性分の私はアクティブな20代を過ごしました。そんな中、盆栽への興味が芽生えたのは30代半ばの時です。

その頃、本格的にスポーツをするのは体力的にしんどくなり始めていいました。また、次第に仕事が忙しくなり、疲れた体でひたすら家と職場との往復の毎日でした。

そんな時、あるきっかけで盆栽と出会いました。今では枯れてしまいましたが紅梅の盆栽です。何も情報がない、周りにやっている人もいない中で、見よう見まねで仕立ててみました。

出来上がった盆栽は、今思い返してみれば自己流のカタマリのような代物でしたが当時としては何とも風流で、見栄えがして一瞬で虜になりました。

【独学で盆栽】

その後、地元の盆栽展、各地の盆栽園を廻っては苗などを買い集め(高い樹は買えない)、鉢数は瞬く間に増えていきました。

ただ、悩みはありました。「周りに教えて盆栽を教えてもらえる人がいない」、「一緒に盆栽を楽しむ仲間がいない」というものです。今ほどSNSが普及していない時代でしたので、気の合う盆栽家に出会うのはまさしく至難の業でした。

もちろん、盆栽展に行けばベテランの盆栽家さんに出会えるので、そういった方に聞けばいいわけですが、「初心者だからってバカにされそうでコワい」と勝手に思い込んでいました。(今思えば皆さん優しく、心配は取り越し苦労でしたが・・・)というわけで、ひたすら独学で、一人淋しい盆栽の日々がおよそ10年続きました。

そして多くの思考錯誤、トライ&エラーの結果、次第に盆栽の知識や経験が蓄積されてきました。今思えば、こうした暗中模索の盆栽研究がむしろ自分の糧になっている思いがします。(お星さまになってしまった盆栽にとってはいい迷惑だったと思いますが・・・)

【盆栽普及プロジェクト】

こんな具合に盆栽を育て、その画像をSNSにアップする日々が続いていました。変化が訪れたのは、SNSの写真を見たというダイレクトメールがきっかけでした。「盆栽を販売して欲しい」というものです。

それまで盆栽は自己満足で楽しむことしか考えていませんでしたので、販売して人さまのお役に立てるという現実は全く新しいものでした。

また同じ頃、SNSを見た地元自治体の袋井市の担当者からも「イベントに出展して欲しい」とオファーをいただきました。東海道袋井宿場公園で開催されたの「袋井宿DE花マルシェ」が初めての出展でした。

かなりドキドキして自分の盆栽を公共の場でお披露目したわけですが、来場者の皆さまからは「きれい!」とか「かわいい♡」とかお言葉をいただき嬉しかったのを憶えています。

という具合に、今では盆栽という素敵な趣味をより多くの皆さまに知っていただくため、様々な活動を行っております。

【盆栽鉢の悩み】

10年も盆栽をやっているうちに、初期のころに実生したものも風格が備わり、そこそこ見栄えがするようになってきました。

そこで必要になるのが盆栽鉢(飾り鉢)です。当初は通販や園芸ショップで販売しているものを購入しては盆栽を植えていました。

ただ、なかなか理想の鉢に出会えない。
プレミアが付いた鉢は素晴らしいのですが値段が数万円するので手が出るはずもなく、かといって安価な大量生産の輸入鉢では丹精した盆栽に対して申し訳がない思いがしました。わが子のように手塩にかけた盆栽を、工業製品の鉢に植えてしまうのはどうしても抵抗を感じました。

【鉢を作ってしまおう】

そんなことを考えていた頃、ある陶芸家と出会いました。ここぞとばかりに盆栽鉢のことを相談すると「作りますよ」と快諾をいただきました。

すぐに理想とする設計図を書いて持ち込み、一か月後に作品が出来上がりました。それはとても素晴らしい作品で、鉢に盆栽を入れると見違えたようにいきいきと輝きました。
このように、オーダーをお願いして作家さんに鉢を作っていただくという時期が半年ほど続きました。

ある時、「盆栽鉢、自分で作ってみたらどうですか」と作家さんから提案をいただきました。この瞬間まで、<鉢を自分で作る>という考えは微塵もなかったので一瞬たじろぎましたが、「なるほど、それもありだな」と陶芸にチャレンジしてみることになりました。
これが盆栽鉢作りを始めた経緯です。

【徳川先生との出会い】

陶芸を習う決心をした私は、鉢作りをお願いしていた作家さんに当然のごとく手ほどきをお願いしました。ところが帰ってきた答えは、「児玉さんはもっと偉い先生のところに行くべき!」陶芸作家として活動している今になって思えば、こだわりの強すぎるメンドクサそうな生徒を教えるのは邪魔くさかったのではないかなと容易に想像できます(笑)。

ということで、日本工芸会正会員徳川浩先生をご紹介いただき、陶芸生活がスタートしました。その後、週一で陶房に通い、自宅でも週四でロクロを引くという腰痛生活一直線の日々を3年続けたわけです。

徳川先生にはとても熱心かつ親切に、成形技術や釉薬調合などありとあらゆる陶芸技術をご指導いただきました。

【陶芸工房完備】

陶芸を開始して8か月後、自宅に窯小屋を建設し、陶芸窯を設置しました。趣味の領域などではなく、一般の陶芸作家が使うサイズの本格的な窯です。

その後、理想の盆栽鉢作りに対する衝動と好奇心だけを頼りに作陶生活に励みました。

盆栽を作る中で、「松柏にはこの質感の鉢が似合う」とか、「この色の釉薬が花を引き立てる」という自分の好みがあり、さらに突き詰めると「真柏にはこれ」とか「サツキにはこれ」という理想がありました。

そういった観念を現実化し、盆栽鉢という「形」で表現できるようになったのはよかったと思います。

【盆栽の存在とは】

話は変わってそもそも盆栽とは何かというお話しです。
過去に盆栽をいろいろと調べる中で、盆栽の歴史やら文献やらを紐解いてみたことがあるのですが、残念なことにこれがほとんど見つからない。これはこれでとても悔やまれることではあるのですが、そこに勝手な解釈を加えてみれば、過去の日本において、「盆栽は書物に残すほどのことでもなかった」ということが出来るとおもいます。

これはネガティブな意味ではなく、どういうことかといいますと、「盆栽は日常生活の一部」だったということです。平安時代の絵巻物や江戸時代の浮世絵の中に、当時の人々が生活の中で盆栽を楽しむ姿が描かれています。

現代でも、大きな事件や事故があればメディアで取り上げられますが、一方で日常の一部、例えば「隣のじいさんが犬の散歩に出かけた」とか「取引先からメールが来た」とかは当たり前すぎて基本的にニュースになりませんよね。

という事は、盆栽に関する書物がほとんど残っていないという事実から、盆栽を育て慈しむということはこの国の歴史の中でごく日常的に行われてきたということが推測できます。

まとめると、
「盆栽は特別なものではなく、日常生活の中で気軽に楽しむもの。」
歴史的観点からも、これが正解だと思います。

【盆栽をもっと身近に】

おしまいに私が目指す盆栽についてです。

盆栽ファンには3種類があります。

まずは国風盆栽展や雅展などを目指す、技巧や技法を突き詰めた盆栽を目指す層。
この層の盆栽の特徴は「古さ」を尊び「技術」を追求するところ。

2つ目の層は、それぞれのセンスで盆栽を選び日常の中で楽しむ層。
「かわいい」とか「カッコいい」とか独自の世界観を大切にしているのが特徴。

3つ目の層は、通称「作り屋」。
実生や挿し木から苗木を作るのがすこぶる上手い。盆栽棚を見に行くと飾り鉢に入った樹は殆どなく、駄温鉢に入った苗が中心。とにかく素材を作る過程を楽しんでいる。

この中で私は、「2つ目の層」と「3つ目の層」を目標としています。
盆栽鉢は、陶芸作品として美しく、盆栽をより引き立てる鉢を目指しています。

以上盆栽と盆栽鉢について長々と書かせていただきました。
これからも「盆栽は人生をもっと楽しくする」を合言葉に楽しんでいきたいと思います。

藤花園 代表 児玉 盛明

児玉 盛明プロフィール写真

運営会社情報Company

会社名 株式会社クレール
所在地 〒437-0127静岡県袋井市可睡の杜7-3(実店舗はございません)
連絡先 TEL: 0538-67-8296
営業時間 土日祝のぞく平日9:00 ~ 18:00(臨時休業あり)
通販サイト http://bon466692.owndshop.com/
インスタグラム
ギフト・贈り物
       

盆栽についてのお問い合わせはこちら!
お気軽にご相談ください!

お電話でお問い合わせ

0538-67-8296

9:00 - 18:00(土日祝は除く)

メールでお問い合わせ