盆栽で美しいとされる樹形とは ~木の持つ個性を生かした風景作り~

盆栽

盆栽は自然の一部を切り取ったイメージを目指す

自然の木を眺めてみると、実にいろいろな形があることに気付きます。それは、木が自生する地形や風向きなど環境によって生まれます。そしてそれぞれ事前の風景の中に違和感なく溶け込んでいて、美しく調和しています。

自然の一部を切り取ったかのような一鉢を目指す盆栽にとって、木の形は最も大切な要素といっても過言ではありません。

盆栽では自然の樹形を表現するという発想から、立ち上がりから樹芯(木の頭)までの形や枝ぶりなどによって樹形がきまっていてそれぞれに名前があります。

木は生き物ですのできっちりと分類に当てはまらないものも多いですし、成長過程で分類が変わるものもあります。手持ちの盆栽を作りこむ場合はイメージを膨らめ、またその木の個性を見極め、臨機応変に考えてみましょう。

以下に代表的な8つの樹形をまとめてみました。

模様木、直幹

模様木

幹が立ち上がりから左右に曲を持ち、ぐねぐねと線を描くように曲がっている木の事です。左右のみではなく前後にも曲があり、自然に見えるものが良いとされています。

また、正面に向かって少し前かがみに植え付け、前傾している面が飾るときの正面となります。

直幹

立ち上がりから樹芯まで幹を持ちます。まっすぐな樹形が特徴。

根の張り方や枝順など、盆栽の基本要素が求められます。根は、偏りが無く幹の周囲に均等に張った形(いわゆる八方根)、枝順は重なりやバラつきが無く均等に配置されたものが良いとされています。

懸崖、斜幹

懸崖

立ち上がりから幹や枝が下垂しているのが特徴です。

懸崖には下垂部分により2種類の違いがあります。

懸崖→立ち上がりからが下垂している。

半懸崖→立ち上がりからが下垂している。

背の高い鉢(懸崖鉢)に飾ったり、台の上に置いたりすることで樹形を生かします。

斜幹

樹芯が左右のどちらかに傾いた樹形です。幹はまっすぐなものや曲が入ったがあります。

重心のバランスをとるために、樹芯と反対側の根張りはがっちりとさせて安定感を表現する場合が多いです。

文人木、吹き流し

文人木

味わいのある細い幹が特徴です。枝は少ない(3本以内など)。下枝は無いのが一般的。

洒落た雰囲気の細幹に仕立てます。

吹き流し

一方向から風に吹かれた様子を表現しています。

斜幹との違いは、吹き流しはすべての枝が一方向によっている点です。鉢の脇に寄せて植え付けた場合、「泳ぎ出し」と呼ばれます。

寄せ植え、双幹

寄せ植え

独立した木を何本か植えたものです。同種の木を植える場合や、異種の木(草)を複数植える場合があります。正月飾りなどがメジャーです。

本数は、2、3、5、7など2本以外は奇数を植えるのが一般的です。

双幹

立ち上がりから2本の幹が出ているものです。

二本の大小差が大きいのもは「親子双幹(または子持ち双幹)」、大小差が小さいものは「夫婦双幹」と呼ばれます。

また、3本以上の株立ちは「多幹」と呼ばれます。

その他の樹形

  • 箒立ち…欅特有のホウキのような形をした樹形。
  • 根上がり…根を露出させて見どころとした樹形。
  • 石付き…根を露出させ石に絡んだ樹形。

などがあります。

また、以上の樹形の組み合わせや、どこにも分類されないような特徴を持った樹形もあり、バラエティーに富んでいます。

独自のアイデアを絞って自然の風景を表現してみるのも面白いですね。