盆栽とSDGs ~脱炭素社会的趣味としての盆栽~
昨今何かと話題のSDGsですが、国や企業が様々な取り組みを進めている中で、私たち一般市民にはまだまだ馴染みが薄いというのが正直な印象だと思います。
しかしながら、盆栽を趣味とする私たちは知らず知らずのうちにSDGsに貢献できているという喜ばしい事実にお気づきでしたでしょうか。
ということで今回は、SDGsと盆栽をテーマに書いてみたいと思います。
SDGsとは
まずはSDGsとは何かのおさらいです。
(以下ご存じの方は飛ばしてください)
2015年9月、世界の国々の政府は、「国連持続可能な開発サミット」で、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(Transforming Our World : the 2030 Agenda for Sustainable Development)」を採択し、17の持続可能な開発目標(SDGs)と169のターゲットを決定しました。
すべての政府や企業、市民が一緒になって、貧困を撲滅し、すべての人が平等な機会を与えられ、地球環境を保全し、より良い暮らしを営むために努力することで、世界がサステナブルに発展するためのグローバル目標です。
日本政府は、SDGs推進本部を設置し「SDGs実施指針」「SDGsアクションプラン」を決定。日本経済団体連合会は「Society 5.0 for SDGs」の実現に向けた取り組みを推進しています。
ただ、日本国内での認知は今のところ十分進んでいるとは言い難いのが現状です。 2018年10月の経済産業省のアンケート調査によると、「SDGsについて全く知らない」と回答した企業が84.2%、「言葉は聞いたことがあるが内容は知らない・対応は検討していない」を含めると98%もいました。
植物を育てるということ
私たちは盆栽を趣味としていますが、家庭で植物を育てることを基本とする趣味の中でSDGsに貢献しているのは盆栽だけというわけではありません。
例えば、多肉植物、観葉植物、家庭菜園、ガーデニングなどもこれにあたります。
これらの趣味は分析するに、植物や土など自然由来の材料を使い、特段何かを大量消費するでもなく、むしろ地球環境の緑化に貢献しているとう側面があります。
このように、突き詰めれば「植物」「土」「鉢」「水」さえあれば、あとは太陽光と人間の世話によりどうにかなってしまうわけで、これ以上自然に優しい趣味はありませんね。
盆栽がSDGsに果たす具体的効果
①日本の文化遺産の保護・保全「ゴール11 住み続けられるまちづくりを」に対応
盆栽はBONSAIとして今や世界に誇る日本の文化遺産として知られています。
盆栽文化を大切に守り、盆栽を次世代に引き継ぐことは、文化遺産の保護・保全に繋がります。
②脱炭素 「ゴール13 気候変動に具体的な対策を」に対応
植物は二酸化炭素(CO2)を吸収し、酸素(O2)を生産します。近年、二酸化炭素の増加が原因とみられる地球温暖化などの気候変動が世界的に問題となっている中で、盆栽の育成は脱炭素に貢献します。
③森林増加 「ゴール15 陸の豊かさも守ろう」に対応
盆栽は庭やベランダに置いて管理します。そこには、自然の昆虫が飛来します。また、毎日の水やりは打ち水と同じですので地表の温度を下げる効果もあります。
自然の森林と比べたら規模は小さいですが、小さいながらの生態系としての役割を果たしています。
まとめ
以上のように、普段何気なく楽しんでいた盆栽がこれほどまでにSDGsと親和性が高いものであったことをご理解いただけたでしょうか。
また、環境保全や脱炭素社会の実現に向けてなど、世界レベルの社会貢献にダイレクトに繋がっていたなんてとても嬉しいですね。
言うまでもなく盆栽は、安定した気候と綺麗な水など平和な環境があっての趣味ですので、末永く楽しんでいくにはSDGsは外すことが出来ません。
またこちらの記事が皆さまの楽しい盆栽ライフを送る中での、SDGsに向き合うかのきっかけになれば嬉しいです。