盆栽鉢の選び方(初心者向け) ~盆栽は「鉢」でもっと輝く~

盆栽鉢、盆器とは盆栽を植える植木鉢の事です。盆栽鉢の素材は、陶器、プラスチック、ビニールなどで使用目的によって使い分けます。

お部屋や盆栽展に飾る際には、一般的に陶器製の飾り鉢と呼ばれる見栄えのする鉢が使われます。

盆栽を始めたばかりの頃は、樹の種類や樹形によってどうしたらよいかわからないと悩む場面も多いはず。私たちが日ごろシチュエーションに応じた服を合わせてファッションを楽しむように、盆栽鉢の使い方も一定のコツがあります。基本の使用法を覚えて置けばおしゃれな盆栽が完成します。

という事で今回は、初心者向けにわかりやすい盆栽鉢の選び方について解説します。

苗、実生、挿し木に使う鉢

育成中の苗などの素材や、実生(種蒔き)、挿し木には駄温鉢やビニールポットを使います。これらの鉢は仕立て鉢と呼ばれ、植物の育成に特化した鉢という特徴があります。

また苗の数が多くなると植木鉢の購入費が嵩むので、比較的安い値段で手に入るこのような植木鉢は経済的に助かります。

(最適なサイズ)

将来小品盆栽サイズ(樹高20cm前後)に仕立てることを前提とする場合は、それぞれ以下の大きさの植木鉢が管理にちょうど良いです。

・苗(育成中の素材)…2.5号(7.5cm)~3号(9cm)サイズ

・実生(種蒔き)…4号(12cm)~5号(15cm)サイズ

・挿し木…4号(12cm)~5号(15cm)サイズ

※鉢のサイズ換算については記事の最後の注釈をご参照ください。

飾りに使う鉢は大きく分けて2種類

お部屋や展示会に飾る際には、通称「飾り鉢」と呼ばれる植木鉢を使います。こちらは仕立て鉢と違い、観賞価値の高い見映えのする盆栽鉢のことです。

飾り鉢は大きく分けて2種類で、主に松や真柏などの松柏盆栽に合わせる泥もの(泥鉢)、そして主に花ものや実ものなどの雑木盆栽に合わせる釉薬もの(釉薬鉢)に分類されます。

それぞれの見分け方は釉薬(器表面のツルっとしたガラス質の装飾)の有無です。

まず泥もの盆栽鉢は、釉薬(上薬)がかかっていません。素焼きの器を高温で焼き上げて仕上げる「焼き締め」という手法で仕上げられます。一方の釉薬もの盆栽鉢は、釉薬がかかっています。素焼きの器に釉薬を施した後に高温で焼き上げて作られています。また、釉薬ものの中には呉須絵や鉄絵などの絵付けを施したものもあります。

これらの区別は、品格や風格を見所とする松柏盆栽と、美しさや可愛らしさを見所とする雑木盆栽の見せ方の違いによるものです。

もしファッションコーディネイトに例えるならば、

・泥もの→フォーマルファッション

・釉薬もの→カジュアルファッション

といった具合でしょうか。

以上が古典的な王道の基本ですが、こちらも服の合わせ方と同じで「外し」も許されます。

例えば、ゴリッゴリの松柏盆栽にキレイな釉薬鉢。かわいい花もの盆栽にシュッとした泥もの鉢など。

これは「花柄のワンピースにレザーのジャケットを合わせる」ようなもので、実際のところ似合っていればOKということですね。

泥もの
釉薬もの

鉢の形とコーディネイト

鉢の形も盆栽の見映えに関わってきます。

盆栽鉢の基本の形として、丸形、長方形、楕円形、木瓜(もっこう)形、花形などがあります。また近年では、以上に分類されない作家ものの独創的な盆栽鉢もあります。作家ものとは陶芸作家さんが製作したオリジナルの作品のことを呼びます。

鉢映りの良い例としては、

・松柏盆栽→丸形、長方形、楕円形

・花もの盆栽→丸型、木瓜形

・実もの盆栽→丸形、正方形

・葉もの盆栽→楕円形、長方形

がよく使われます。

また、盆栽の樹形と鉢の形とのバランスの基本は以下の通りです。

・背の高い樹形→平たい鉢

・広がった樹形→縦長の鉢

・懸崖樹形→背の高い鉢

見た目のバランスもありますが、鉢の使い勝手は日常の管理のし易さにも関わる部分ですので以上のポイント踏まえてコーディネイトしていきましょう。

以上盆栽鉢の選び方についてまとめてみました。

【鉢のサイズ換算について】

盆栽鉢を含めて植木鉢のサイズは、一般的に「号」や「寸」で表記されます。

丸形の場合は口径、長方形や木瓜形の場合は長辺のサイズを測ります。

(換算方法)

1号=1寸=3cm 

の計算式となります。

例えば、

3号サイズの鉢の場合、

3(号)×3(cm)→9(cm)

という具合に数値をはじき出します。