盆栽素材の増やし方 その1

~種まき(実生)、挿し木で作る盆栽素材~

木には実がなりその中に種子が出来ます。それを土に蒔くと芽が出て、数年間手を掛けると盆栽に仕立てることが出来ます。

また、剪定した枝を土に挿しておくと枝の根本から根が生え、盆栽の苗として素材を増やすことが出来ます。

このように盆栽は、既に誰かの手で作られた完成品を買うだけではなく、種蒔きや挿し木といった方法で一から作ることが可能です。

今回はまず「その1」としてに簡単にできる「種蒔き」の方法をまとめてみました。

【種蒔き(実生)】

種蒔きの手順。

種を採集する

自生地や公園に行くと種が落ちています。そのまま蒔く方法(取り蒔き)と、春まで保管して蒔く方法とがあります。

特に秋には、松、もみじ、ケヤキなど盆栽として代表的な樹種の種が手に入ります。秋に採集し春に蒔く場合は、採取年月日や植物名のメモとともにビンや袋に入れて保管しておきましょう。またその時、一度寒さに当てないと発芽しない樹種もあるので、屋外の物置など凍らない程度に寒い場所に保管します。

鉢(実生床)を用意する

適当なサイズの駄温鉢(3号鉢~5号鉢が扱いやすい)に鉢底ネット(ゴロ石でも可)をセットし、赤玉土を入れます。

種を蒔く

適当なコップなどに水を張り、種を一日水に漬けます。

種をセットした赤玉土に蒔き、上から軽く覆土します。深さは、種の大きさの2倍で大丈夫です。浅い場合は蒔種後に乾燥しやすくなるので、適度な湿度を保てるよう適宜調整します。

この時、水に沈んだ種は発芽するとか、浮かんだ種は発芽しないとか言われていますが、これは絶対的な基準ではありません。水に浮かぶ種でも立派に芽が出るものがありますので諦めずにまいてみることをお勧めします。

発芽まで半日陰で管理

種を蒔いた後は、乾燥を防ぐため軽く遮光した半日陰(建物の東側や盆栽棚の下などでもOKです)で管理します。

毎日の水やりは忘れずに行いましょう。

発芽までの期間は?

発芽にかかる期間は、気候や植物により大きく異なります。

以下がおおよその目安です。

※東海地方、2月中旬にタネを蒔いた場合。

【芽が出るまでの日数の目安】

黒松…40日

赤松…50日

五葉松…50日

モミジ…30日

ケヤキ…30日

ツツジ…20日

ロウヤ柿…70日

椿…30日

また、モミジやロウヤ柿に多いのですが、一年後など忘れたころに発芽する種もあります。蒔いた時点で発芽のタイミングを逃してしまった個体が翌年まで待って再度訪れた適期に発芽するものだと思いますが、植物の生命力には驚かされます。

発芽後の管理

 芽が出た直後は直射日光を避け、引き続き半日陰で管理します。

 発芽から一か月ほど経ったら通常の盆栽と同じ環境で管理します。

まとめ

以上、種まきから作る盆栽素材の増やし方についてまとめてみました。

種を蒔いて芽が出た時の感動は何ものにも代えがたいものがあります。ましてやその苗が数年後に立派な盆栽に育った時にはなおさらの喜びを感じます。

盆栽として完成形を見るまでには少し年数はかかるので気長な心構えは必要ですが、チャレンジしてみる価値は十分にあると思います。楽しみながらぜひ挑戦してみてください。